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キャリアアップ助成金"正社員化コース"って?

更新日:2019年5月8日



前回、企業向けの社会保険について書いた記事でも触れていた

「キャリアアップ助成金」について、今回は説明していきたいと思います。

【キャリアアップ助成金とは?】

昨今、非正規労働者が全労働者の約4割を占めるような時代となり、

その雇用の安定や処遇の改善が重要な課題となっています。

派遣の雇い入れについても、法改正の施行により「派遣切り」が問題視され話題になりましたね。

非正規として就業すると、どうしても雇用が不安定になりがちです。

「キャリアアップ助成金」は、そういった派遣や契約社員、パート、アルバイトなどの非正規労働者の減少を目的に導入されている助成金です。

非正規従業員に対して、スキル向上のためのさまざまな施策を行う事業者に対して助成が行われます。

これまでは、「正社員化」「人材育成」「処遇改善」の3コースでしたが、2017年4月に改定され、8コースとなりました。

  • 正社員化コース

  • 人材育成コース(平成30年4月より「人材開発支援助成金」に統合)

  • 賃金規定等改定コース

  • 健康診断制度コース

  • 賃金規定等共通化コース

  • 諸手当制度共通化コース

  • 選択的適用拡大導入時処遇改善コース

  • 短時間労働者労働時間延長コース

中でも、雇用期間が定められている”有期雇用労働者”を無期・正規に転換することで助成が受けられる

「正社員化コース」が多くの企業で活用されており、今や事業の拡張には欠かせない助成金です。

今回は、実際に私も申請を行っていた「正社員化コース」について詳しく説明していきます。

【キャリアアップ助成金「正社員化コース」とは?】

先述のように、キャリアアップ助成金の中でも最も活用されているのが、正社員化コースです。

非正規労働者を正社員にすることで、従業員にとっても大きなモチベーションとなりますよね。

その上で企業も助成金が受け取れるということになれば、ウィンウィンの良いことづくし!

しかし当然ながら、各助成金には細かく要件が定められているので、申請の際は必ず最新の情報を入手し、その時々の変更点なども確認することが重要です。

【キャリアアップ助成金「正社員化コース」の受給要件】

キャリアアップ助成金「正社員化コース」を受給するための要件は以下の通りです。

(1) 有期契約社員として6ヶ月以上雇用され、正社員に転換後も6ヶ月以上の期間継続して雇用されること。

(有期契約の期間と正社員の期間を合計して12ヶ月以上の雇用期間が必要。)

(2) 正社員転換後6ヶ月間の賃金が支給されていること

(3) 有期契約社員を正社員に切り替える日の6ヶ月前の日から1年を経過する日までの間に、雇用保険の被保険者を事業主の都合によって解雇など、離職させていないこと

(4) 正社員に転換時に、その正社員を雇用保険と社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者として加入させること

(5) 有期契約社員(または派遣社員)を正社員など期間の定めがない雇用形態に転換する制度を、就業規則などで規定すること

(6) 対象の労働者が、訓練を実施する事業所の事業主又は取締役の3親等以内の親族以外の者であることまた

また、平成30年度以降、下記のとおり拡充が行われています。

<平成30年度 拡充内容> 参考:http://www.meti.go.jp/press/2016/08/20160810005/20160810005-1.pdf

・支給対象について1年度1事業所あたりの支給申請上限人数が15人→20人に拡充。

 また、支給には次の要件が追加。 ・正規雇用等に転換した場合、転換前6ヶ月と転換後6ヶ月の賃金(賞与・各種手当等含む)の比較で5%増額している ・有期契約労働者から転換した場合、転換前に事業主に採用されていた期間が3年以下に限る

前回の記事でも書いていましたが、

以前いた職場ではアルバイトスタッフから始めて、試用期間等を経て正社員に転換する例が多かったため

社労士さんのアドバイスでこの助成金を活用しようということになりました。

しかし実際こうした細かい要件があるために、助成金の対象となるよう”入社から正社員転換までの期間”などを新たに定めるようにしました。

【キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額】

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給額は以下の通りです。

[有期契約社員→正社員への切り替え]  

 中小企業:57万円(72万円)

 大企業:42万7,500円(54万円)

[無期契約社員→正社員への切り替え]  

 中小企業: 28万5,000円(36万円)

 大企業:21万3,750円(27万円)

※括弧の中の金額は、3年前の決算に比べて、生産性(*)が原則として6%以上伸びている場合に適用される金額です。

 3年前に比べて少ない人数でより多くの利益を稼いだ場合には助成額がアップするということです。

 3年前と比較するため、会社であれば4期目、個人であれば4年目以降の申請にのみ適用されます。

*生産性=(営業利益+従業員給与+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)/雇用保険被保険者数(各数字は決算書のものを使用。)

この他にも、有期契約社員から無期契約社員に切り替えた場合にも、無期契約社員から正社員への切り替えと同額の助成が受けられます。

また、中小企業と大企業とで受給額が分かれていますが、具体的に中小企業というのは以下の事業主を指します。

資本金要件または常用労働者数要件のどちらかを満たせば中小企業に該当します。

[小売業(飲食店含む)]

 資本金要件: 5,000万円以下    

 常用労働者数要件:50人以下

[サービス業]

 資本金要件 :5,000万円以下    

 常用労働者数要件:100人以下

[卸売業]

 資本金要件 :資本金1億円以下  

 常用労働者数要件:100人以下

[その他]

 資本金要件 : 資本金3億円以下    

 常用労働者数要件:労働者が300人以下

【キャリアアップ助成金(正社員化コース)申請までの流れ】

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の受給までの流れは以下の通りです。

(1) 就業規則に有期雇用から無期雇用(正社員)への切り替え制度を規定   →転換する条件や時期を明示して定める必要があります。

(2) 最初に契約社員が正社員に切り替えする日までに、”キャリアアップ計画”を労働局やハローワークに提出

(3) 実際に正社員への切り替えを実施

(4) 正社員への切り替え後6ヶ月分の賃⾦を⽀給

(5) 正社員への切り替え後6ヶ月分の給与支払いを行った日から2ヶ月以内に労働局やハローワークへ助成金の支給申請のための必要書類を提出

 ※(5)における、所定の申請書以外の主な必要書類は以下の通りです。

 ・社員転換の制度を規定した、【正職員転換規程】、【有期契約職員就業規則】  ・対象の労働者の労働条件通知書、賃金台帳、タイムカードのコピー  ・企業であれば登記簿の写し(履歴事項証明書)等 (発行後3ヶ月以内のもの)

以前の職場では事業所と飲食店を数カ所で運営していたため、

(1)において全ての拠点における就業規則をキチンと整備する必要がありました。

また、(5)にあるように、助成金申請のための「有期職員用の就業規則」と、「正職員転換制度規定」という書類を用意しました。

こちらは社労士さんにお願いすれば一般的な形式のものを用意してもらえました。

これらも合わせて労基へ提出する必要があります。

書類不備で助成金が受給できないということを防ぐためにも、多くの手続きは、社労士さんにお願いしていました。

特に、書類の提出期間が定められている場合、1日でも過ぎれば助成金の受給ができなくなります。

また当然ですが提出した書類も助成金の趣旨に沿った内容でなければいけません。

もちろん書類の確認や、法人印の押印が必要な書類も多いため、社労士さんに頼りっぱなしではなく、企業側でも期日などしっかりと確認してくださいね。

こうした助成金を利用することで、企業側のコストの負担を減らすことにつながりますので、

新たに正社員の雇入れを考えている事業所の方は検討してみてはいかがでしょうか。

最新の情報は、厚労省のHPをチェックしてみてくださいね◎


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